血液検査
- 抗核抗体
- 血算
- CRP
- 感染症検査(結核・B型肝炎・真菌)

血液検査では、リウマチ因子と抗CCP抗体、CRPや赤沈(せきちん)などの炎症反応、MMP-3などの数値を重要視します。リウマチ因子や抗CCP抗体は、関節リウマチの患者さんのほとんどが陽性と判定されるため、診断をつけるために行われる一般的な検査として位置づけられています。分類基準においても、重要な項目として評されています。とくに、抗CCP抗体はリウマチ因子と比べて、診断の精度が高いと評価されています。また抗体価の数値がかなり高いと、関節の破壊が一気に進みやすくなるリスクも上昇します。そのため数値が高かった方には、少しでも早めに治療を受けるようサポートしています。しかし、関節リウマチ患者さんの10~20%は、先述した抗体・因子に付いて調べても陰性と出るため、「陰性=関節リウマチではない」と断言することはできません。その他の数値や症状なども考慮してから、診断をつけることが大切です。
CRPや赤沈、MMP-3は、関節の炎症があると高く出るため、診断において重要な情報になります。また治療の効果を調べるために、定期的に数値を調べていく検査項目でもあります。生物製剤などの免疫抑制剤の投与を検討する場合は、結核やB型肝炎、真菌などの感染症が体の中に隠れていないかチェックすることが非常に重要です。治療の安全性を守るためにも、これらをチェックしてから治療を始めていきます。
免疫グロブリンG (IgG) 高値
免疫グロブリンG (IgG) は、感染や自己免疫疾患における免疫反応の一環として増加する抗体です。膠原病やリウマチ疾患では、IgGの値が高くなることがあり、慢性炎症の存在を示すことが多いです。特に全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチでは、IgGの上昇が見られます。IgG高値は免疫系の過剰反応を反映し、自己免疫疾患の活動性や炎症の度合いを評価する指標として重要です。
リウマチ因子 (RF) 陽性
リウマチ因子 (RF) は、自己抗体の一種で、関節リウマチの患者様の多くで陽性となります。RFは抗体の一部に対して反応を示し、自己免疫反応を引き起こすことがあります。リウマチ因子陽性は、関節リウマチの診断に有用ですが、必ずしも特異的ではなく、シェーグレン症候群や他の自己免疫疾患、感染症などでも陽性になることがあります。リウマチ因子陽性の患者様では、症状が進行しやすい傾向も見られます。
抗CCP抗体陽性
抗CCP抗体は、関節リウマチに特異的な自己抗体であり、リウマチ因子(RF)よりも診断精度が高いとされています。関節リウマチ患者の約70〜80%が抗CCP抗体陽性であり、この抗体が陽性であると、リウマチの進行や関節破壊が速やかに進むリスクが高いと考えられます。早期発見・治療のために非常に重要な検査です。
抗核抗体 (ANA) 陽性
抗核抗体 (ANA) は、細胞内の核の成分に対して反応する自己抗体で、多くの膠原病で陽性になります。ANA陽性は、膠原病の診断に役立つマーカーの一つであり、SLEや強皮症、シェーグレン症候群、混合性結合組織病(MCTD)などで高頻度に陽性になります。ただし、健康な人でも陽性になることがあるため、他の臨床症状と併せて診断することが重要です。
CRP・赤沈高値
CRP(C反応性蛋白)と赤沈(赤血球沈降速度)は、炎症の存在を示す検査です。膠原病やリウマチ疾患では、これらの値が高くなることが多く、特に関節リウマチでは病状の活動性や炎症の程度を反映します。CRPと赤沈の上昇は、炎症の重症度を評価し、治療効果のモニタリングにも使用される重要な指標です。
蛋白尿・血尿・腎機能障害
膠原病の一部、特に全身性エリテマトーデス (SLE)やANCA関連血管炎、IgA血管炎 などの疾患では、腎臓に炎症が起こり、腎炎が発症することがあります。これにより、尿中に蛋白や血液が混ざることがあり、蛋白尿や血尿が現れます。これらの症状は、腎臓の損傷を示すサインであり、早期の精査・治療が必要です。腎機能の低下は膠原病の重篤な合併症の一つです。
レントゲン検査

関節レントゲン検査では、骨の配列や骨どうしの間隔、骨びらん(虫食い像)がないかどうかの確認を行います。見た目で変形していなくても、骨びらんが少しずつ進行するケースもありますので、定期的に検査を行い、進行の有無を確認していきます。
関節のレントゲンに加え、定期的に胸部レントゲン検査もお勧めしています。
関節リウマチをはじめ、膠原病では肺病変を合併する頻度が高く、病勢評価の目的に胸部レントゲン検査を行います。
超音波検査
また最近は、超音波検査が関節リウマチの診療でよく活用されるようになりました。超音波検査は、痛みを伴わず、被ばくリスクもありません。安全性が高く、レントゲンでは評価できない「滑膜炎」をより正確に見つけ出すことができる検査で、関節リウマチの早期診断にも利用されている検査方法です。また、治療の効果を判定するために最も大切なツールの一つです。関節リウマチの治療目標は自覚症状の改善のみならず、『超音波上の炎症所見の消失』を目指す時代になっています。関節超音波検査を積極的に活用しています。