診療時間

TOPへ

膠原病・リウマチのよくある質問

病気について

膠原病とは何ですか?

膠原病とは、本来自分自身を守ってくれるはずの免疫システムがエラーを起こし、自分自身の免疫システムが自分自身の身体の臓器や組織を攻撃してしまう病気の総称で、関節リウマチ全身性エリテマトーデスなど、数十種類の病気が知られています。関節や皮膚、内臓など、全身さまざまな部位が攻撃を受け炎症を起こします。

リウマチとは何ですか?

正式には関節リウマチという病気です。関節リウマチは免疫システムのエラーによって関節(滑膜)が炎症を起こす疾患で、特に手や足の小さな関節に炎症が生じ、痛みや腫れ、変形を引き起こす慢性疾患です。

膠原病と関節リウマチは違うのですか?

関節リウマチは膠原病の一種で、膠原病の中で最も頻度の高い病気です。広く膠原病といわれる病気には他にも全身性エリテマトーデス(SLE)や強皮症、シェーグレン症候群、血管炎など数十種類の病気が含まれます。

頻度の高い膠原病は何ですか?

膠原病の中で最も多い疾患は、関節リウマチになります。おおよそ200名に1人程度の高い有病率をもち、決して珍しい病気ではありません。

関節リウマチの合併症にどんなことが考えられますか?

関節リウマチの方の10~20%程度に間質性肺炎や気管支拡張症など、何らかの肺、気道病変が認められるとされています。関節リウマチは診断時から、肺病変の有無を慎重にチェックする必要があります。その他、稀に、胸膜(肺を包む膜)や心膜(心臓を包む膜)の炎症や、眼の強膜炎などを合併することがあります。

関節リウマチ

膠原病で見られる皮疹は何ですか?

皮膚は多くの膠原病疾患で障害される組織のひとつです。その中でも全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う蝶形紅斑や、皮膚筋炎でみられるゴットロン兆候(手指にみられる赤み)、ヘリオトロープ疹(瞼の腫れと紅斑)、強皮症でみられる皮膚硬化やレイノー現象などは、皮膚の観察のみで、診断を想起できる重要なサインです。

リウマチ因子とは何ですか?

リウマチ因子(RF)は、血液検査で検出される自己抗体(自分の身体に対して作る抗体=攻撃因子)の一種で、関節リウマチの診断に用いられることがあります。しかし、リウマチ因子が陽性であっても必ずしも関節リウマチとは限らず、病的意義がほとんどないケースも多く存在します。その一方で、陰性であっても関節炎がみられ、関節リウマチの診断にいたる方もたくさんいます。診断のための“補助的検査”の位置づけです。
近年はより関節リウマチに特異的にみられる抗CCP抗体を測定する機会が増えています。

関節リウマチで肺炎になりますか?

関節リウマチの患者さんに咳や息切れなどの呼吸器症状がみられた際は大きく2つの原因を考えます。ひとつは間質性肺炎や気管支拡張症など、関節炎と同様、免疫のシステムエラーによって引き起こされる肺病変です。ほとんどの方が、関節リウマチの診断時に、肺病変の精査も行いますので、その時点で肺病変が発見されます。関節リウマチのコントロールが良かれば、多くが増悪することなく経過します。もう一つが、感染症です。特に、ステロイド免疫抑制剤、生物学的製剤の使用中は肺感染症に注意が必要です。ご年齢や、既存の肺病変、日ごろの関節リウマチの治療の強さに応じて、予防的抗生剤内服を推奨することもあります。

持続する熱が続くのは膠原病ですか?

3週間以上熱が持続する場合、一般的な感染症の可能性は低くなります。持続する原因不明の発熱では①結核など特殊な感染症、②悪性リンパ腫をはじめとする腫瘍性疾患、そして、③膠原病、この3つのいずれかの可能性が高まります。多くの膠原病が関節痛や皮膚症状、呼吸器症状など、熱以外の症状を伴い、それらを総合的に判断して診断に至りますが、血管炎(とくに高安動脈炎や側頭動脈炎)のように発熱以外、目立った症状がみられない疾患もあり、ときに診断が難しくなります。

膠原病の前兆はどんな症状になりますか?

慢性疾患である膠原病は比較的若い年齢でも発症するものも多くあります。一部の膠原病疾患では症状が出現しても持続せず、同じような症状を一過性・間欠的に繰り返し、徐々に持続的になっていくことがあります。例えば、全身性エリテマトーデスでは全身の臓器障害が顕著になる何年も前から『日光過敏症(紫外線による皮膚、とくに顔面の極端な赤み、発熱や全身倦怠感などの症状)が毎年夏にみられていた。』などの症状が聴かれるケースにも多く出会います。同じように、何年間も繰り返し出てくる関節炎、発熱、粘膜症状(口内炎や陰部潰瘍)、腸炎症状(下痢や腹痛、血便)などがある場合には、背景に膠原病が隠れているかもしれません。一度、膠原病専門医にご相談することをお勧めします。

膠原病になると目にも症状が見られますか?

膠原病の中でも比較的頻度の高いシェーグレン症候群は唾液を分泌する唾液腺、涙を分泌する涙腺の慢性炎症で機能が低下し、ドライアイドライマウスを主症状とします。目が乾いてゴロゴロする、シバシバする、慢性的な目の痛みなどに、口腔内乾燥が伴う場合、一度検査をお勧めします。また、膠原病疾患の中でもベーチェット病やサルコイドーシス、脊椎関節炎といった疾患では共通して、眼球を覆う主要な膜でもあるブドウ膜に炎症をきたすことがあります。ブドウ膜炎では目の充血に加え、かすみ目(視界が濁る)を自覚することが多く、進行すると失明に至る可能性もあるため、原因がはっきりないブドウ膜炎では膠原病に関して、全身の精査が必要になります。

膠原病になると痩せやすいですか?

関節リウマチをはじめとする膠原病は、全身に炎症をきたす病気です。そのため、治療が不十分で炎症が持続すれば、筋肉や脂肪といった組織が異常に代謝されることにより体重減少がみられることもあります。また、強皮症に伴う逆流性食道炎、シェーグレン症候群に伴うドライマウスなど思ったように食事が進まず、体重減少につながるケースもあります。
一方で、治療に使われるステロイド製剤には、本来の免疫抑制作用とは別に、体に水分をため込んだり、食欲を増強させる作用もあり、全身のむくみ、体脂肪の増加につながり、体重は増える傾向にあります。

膠原病になりやすい性格はありますか?

ほとんどの膠原病は原因が特定されていません。なんらかの性格が原因で膠原病になりやすいといった研究データはありません。しかし、例えば膠原病に伴うレイノー現象(寒さやストレスで指先の血流が途絶え、白くなる現象)などは交感神経(自律神経の一種)の過剰な興奮が症状を増悪させることも知られており、交感神経を興奮させる=精神的ストレス、が症状の増悪につながります。膠原病発症に因果関係はありませんが、膠原病患者さんは精神的なストレスを回避することもとても大切です。

膠原病は治る病気ですか?

体の免疫細胞は非常に優れた記憶力を持っています。過去に経験したことのあ病原体が2回目に体に侵入した際には、じつに迅速に強い免疫反応を引き起こします(免疫記憶)。感染に対して非常に有効なこの免疫の記憶力ですが、いざ、自分の身体に対して攻撃が始まった場合は厄介です。免疫細胞が自分の臓器や組織を“敵”と判断してしまうと、残念ながら完全に治ることは非常に難しいと言わざるを得ません。現に治療を中断すると高い確率で短期間で再発します。しかし、近年はより長くより安全に使用できる薬がたくさん開発されています。専門医のもと、最適な治療を選択し継続することによって症状をコントロールし、生活の質を向上させることが可能です。このような場合、“治癒”という言葉ではなく、“寛解”という言葉を使用します。

関節リウマチの治療法にはどのようなものがありますか?

関節リウマチは、抗リウマチ薬(DMARDs)、生物学的製剤を中心に治療を行います。とくにメトトレキサートは関節リウマチの治療の主軸になる薬です。近年はメトトレキサートのみでは効果が不十分な炎症に対して、積極的に生物学的製剤を選択し、炎症の鎮静化を計ることが推奨されています。炎症や痛みの強さ、進行のスピードによって、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を併用することがあります。

膠原病は遺伝しますか?

膠原病自体が遺伝性疾患ではありませんが、家族に同じような自己免疫疾患があると発症しやすい遺伝的要因が関係することがわかってきています。一般的な関節リウマチの頻度は1名/200名程度で決して珍しい病気ではありませんが、これは“健常なお母さんが200人に赤ちゃんを産んで1人発症”するという確率です。その一方で、関節リウマチのお母さんから生まれた赤ちゃんが関節リウマチを発症する確率は5倍程度高まるといわれます。5倍と聞くと、ドキッとしますが、“200人赤ちゃんを産んで5人が関節リウマチになる確率”です。195人は関節リウマチとは無縁の人生を送れます。このような確率の場合、“遺伝性疾患”という言葉は使用せず、“家族内発症”という言葉を使用します。大切なことは、自分が関節リウマチだからと言って赤ちゃんを諦めなければいけないような確率では決してないということ。たとえ、子供が関節リウマチを発症しても自分を責めないこと、ご家族に関節リウマチの方がいても、極端に不安にならないこと、です。当院と医療連携をとる昭和医科大学のリウマチ膠原病内科には、妊娠から出産、産後までトータルで膠原病患者さんをサポートする“リウマチ母性外来”があります。今後の妊娠や出産に少しでも不安や悩みがある場合、当院を窓口として、まずはご相談ください。

膠原病はどのように診断されますか?

“症状の経過”=“病歴”がもっとも大切です。血液検査や画像検査(レントゲンや超音波、MRIなど)は、あくまで診断の補助的役割になります。血液検査で○○抗体が陽性でも陰性でも、基本的には“症状の経過=病歴”、が大切になります。そのため、当院では、問診(患者さんの話し)をもっとも大切な診断ツールとして、医師看護師を総動員して時間を割いていきます。一回の外来診療の時間内では聞き終わらないかもしれません。長期間、なかなか診断のつかない症状に関しては、受診前に症状、時間経過などを整理しておいていただけるとよりスムーズに診療が進むと思います。
問診と身体診察をしっかり行ったうえで、ある程度狙いを絞って、病気に特異的にみられる抗体の検査(血液)や画像検索を行います。関節リウマチに関しては超音波検査が非常に有用で、診断のみならず治療の効果判定目的にも定期的に実施していきます。

関節リウマチは早期に診断した方が良いですか?

関節リウマチの進行には個人差が大きいですが、初期の数か月で関節破壊が進行することが多いといわれています。とくに、腫れがひどい場合、痛みが強い場合、熱を伴う場合など進行が急速です。近年では、発症前から血液中で増えてくる抗CCP抗体、初期の炎症をビジュアル化できる関節超音波(エコー)などの発展で、より早期に診断し、変形が進む前に治療が開始できるようになりました。気になる痛みがある場合は、なるべく早く専門医の診断を受けることをお勧めします。

関節リウマチの薬は一生続けないといけないですか?

関節リウマチの治療は長期間、年単位にわたることが一般的ですが、症状が改善し、病状が安定した場合には薬の量を必要最低量まで減らすこと、一部の薬を中止するなどことなどを積極的に行っていくことも非常に大切です。ただし、自己判断で治療を中断するのは危険です。専門医と二人3脚で行っていく作業です。

関節リウマチでも妊娠できますか?

多くの関節リウマチ患者さんが、妊娠や出産、その後の育児に不安を抱えています。ときに結婚そのものに対する不安へもつながり、病気の正しい認識が大切になる部分です。関節リウマチになっても妊娠はもちろん可能です。一部のリウマチ薬は妊娠中の内服で胎児奇形などの問題につながるリスクがあるため、専門医と相談の上、計画的な妊娠が必要です。リウマチの症状が妊娠中に緩和されることもありますが、出産後に育児でバタバタしている最中に症状が一時的に増悪する可性もあります。出産後も薬剤の中には母乳に移行してしまうものもあり注意が必要です。当院と医療連携をとる昭和医科大学のリウマチ膠原病内科には、妊娠から出産、産後までトータルで膠原病患者さんをサポートする“リウマチ母性外来”があります。今後の妊娠や出産に少しでも不安や悩みがある場合、当院を窓口として、まずはご相談ください。

妊娠中に膠原病や関節リウマチの治療は続けても安全ですか?

治療薬によっては妊娠に影響を及ぼすことがあるため、妊娠を考えている場合は事前に医師と相談が必要です。

膠原病や関節リウマチは命にかかわる病気ですか?

ごく一部の膠原病を除いて、病気そのものが命にかかわることは非常に稀です。しかし、膠原病の中には全身様々な臓器や組織に影響を与える病気急速に進行する肺炎(間質性肺炎)などを合併することもあり、全身トータルで気を付けて診ていかなければならない病気であることは間違いありません。また、使用する薬剤は免疫力を抑える薬であることが多く、使用中は感染症などにも慎重な姿勢が大切です。

関節リウマチと歯周病は関係ありますか?

歯周病菌が関節リウマチの炎症を悪化させる可能性が指定されています。関節リウマチの方の血液中に検出される抗CCP抗体の産生も歯周病菌が原因の一つと考えられています。
定期的な口腔ケアが関節リウマチのコントロールに役立つことが示されています。また、免疫抑制剤を使用することで、むし歯や歯周病が悪化するリスクも増えるため、よりいっそう、定期的な歯科受診、口腔ケアが大切になります。

関節リウマチと骨粗鬆症は関係ありますか?

関節リウマチの患者さんでは、健常者と比較して、骨密度が低い傾向にあるといわれています。骨を壊す細胞(破骨細胞)、骨を作る細胞(骨芽細胞)のバランスが崩れることも知られています。関節の炎症そのものやステロイド治療の影響で、骨密度がさらに低下しやすくなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。骨の健康を保つため、定期的な骨密度測定、適切な治療が重要です。

関節リウマチと生活習慣病は関係ありますか?

関節リウマチの患者さんでは、心血管疾患や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まることが知られています。これは、慢性炎症や一部の薬剤の影響、そして運動不足などが複合的に関与しているためと考えられています。リウマチ治療と並行して生活習慣病の管理も重要な治療の一部となります。

膠原病や関節リウマチになっても運動して大丈夫ですか?

関節の痛みが強い場合が運動は推奨されません。炎症を起こしている関節に過度な負担をかけないような方法で運動する工夫が必要です。たとえば膝が痛いのにアスファルトの上を長時間ウォーキングすることは推奨されません。そのような場合、浮力を利用し、膝への負担を軽減できる水中ウォーキングなどの方が、安全で効率的かもしれません。
やらない方がよい運動、やった方がよい運動、リウマチ主治医や看護師に相談してみるのをお勧めします。


費用について

膠原病や関節リウマチの治療は保険適用になりますか?

膠原病や関節リウマチの治療は多くの場合、健康保険適用になります。特定の高額な薬剤や治療については自己負担がある場合もありますが、当院では基本的に保険診療の中で診療を行っていきます。

膠原病や関節リウマチの治療には高額な費用がかかりますか?

治療費用は薬剤の種類や頻度によって大きく異なります。とくに生物学的製剤など新しいリウマチ治療薬は高額になる傾向にあり、生物学的製剤を使用すると3割負担の方で月々2万円~5万円の薬代がかかります。少しずつバイオシミラー(生物学的製剤と同等の効果が期待できる薬剤。ジェネリックに近い位置づけ)が登場し、医療費が下がっている薬剤も増えてきていますがまだまだ高額です。生物学的製剤で寛解が得られたら、薬を可能な限り減量し、医療費を抑えていくことが大切です。さらに世帯収入の額などにもよりますが、高額療養費制度をうまく利用すれば、自己負担額が軽減されることもあります。

高額療養費制度はどのように利用するのですか?

医療費が一定の額を超えた場合に、保険者に申請することで、超過分が払い戻されます。事前に限度額認定証を申請しておくと便利です。制度がやや複雑なので、お住いの自治体保健所などに相談窓口へお問合せいただくとよいかんもしれません。

膠原病や関節リウマチは障害年金の適用になりますか?

症状が重く日常生活に支障がある場合、障害年金の対象となることがあります。医師の診断書が必要になります。まずは医師までご相談ください。

生活保護を受けている場合、膠原病や関節リウマチの治療費はどうなりますか?

生活保護を受けている場合、医療扶助を利用して治療費を負担することができるため、治療にかかる費用は基本的に自己負担がありません。ただし、当院は生活保護法に基づく指定医療機関ではないため受診はお受けできません。お住いの地域の自治体で指定医療機関をご確認いただき、受診してください。