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代表的な膠原病・リウマチの治療薬一覧

抗リウマチ薬

メトトレキサート(リウマトレックス、メトレート)(従来型抗リウマチ薬)

関節リウマチ治療の中心的役割を演じる治療薬です。炎症細胞の増殖を防ぐことで、関節炎を抑える目的で使用します。一般的には週1日、あるいは2日のみの内服で、単剤、もしくは生物学的製剤や他の抗リウマチ薬と併用し使用します。頻度の高い副作用として、口内炎や胃腸障害が出現することがありますが、内服量を減らしたり、分割して飲んだり、副作用を抑える薬剤(葉酸製剤)を併用しながら調整していきます。また、血液検査でASTやALT(いわゆる肝酵素と呼ばれる項目)が上昇することがありますが、この場合、自覚症状はありません。メトトレキサート内服中の方は定期的な血液検査が必要になります。


生物学的製剤

関節リウマチの炎症部位ではいくつかの炎症物質(サイトカイン)が異常に増加していることがわかっており、その代表的なサイトカインがTNF-αとIL-6と呼ばれる炎症物質です。
これらのサイトカインを特異的にブロックすることで関節炎を抑える薬が次々に開発され、非常に高い効果が期待できます。メトトレキサートやタクロリムスが炎症細胞そのものに作用し、動きを止めるのに対し、生物学的製剤は炎症細胞が放出する炎症物質を1対1で特異的にブロックするいわば『ピンポイント攻撃』を可能にした薬です。

生物学的製剤は複雑な構造(アミノ酸配列)を有するため、内服薬で使用すると、消化酵素で分解されてしまい、薬効がなくなってしまいます。そのため、これらの薬は皮下注射や点滴製剤として使用します。投与する頻度は週1回投与~月1回投与など薬によって様々です。


JAK阻害薬(分子標的型抗リウマチ薬)

JAK阻害薬(分子標的型抗リウマチ薬)生物学的製剤は高分子(大きくて複雑な構造)であるがゆえに皮下注射や点滴による投与を余儀なくされますが、近年は細胞内に入り込み、サイトカイン(炎症伝達物質)の刺激の伝達を途中でブロックする分子の小さな薬剤も開発されています。JAK阻害薬と呼ばれるそれらの薬剤は、TNFα阻害薬やIL-6阻害薬と同等、ときにそれ以上の効果を発揮してくれる内服薬です。


ステロイド(副腎皮質ホルモン)

  • プレドニゾロン(プレドニン)
  • メチルプレドニゾロン(メドロール、ソル・メドロール)
  • デキサメタゾン(デカドロン)

ステロイド製剤はもっとも古くから使用されている免疫抑制剤のひとつです。強力な免疫抑制作用、抗炎症作用を有し、膠原病の急性期に大量に使用されることの多い薬剤です。免疫を抑える効果、すなわち膠原病に対する治療効果は高いのですが、副作用も多く、非常に多彩です。とくに長期間の使用は骨粗しょう症や糖尿病、全身の筋力低下、白内障や緑内障、易感染性(免疫力の極端な低下で感染症にかかりやすくなる)など、多くの副作用がおこり得ます。近年では、長期的により安全性の高い、他の免疫抑制剤を使用することで、ステロイドは可能な限り減量、中止する考え方が主流です。関節リウマチでは抗リウマチ薬の開発が目覚ましく、初期からステロイドは使用しない治療方法が主流ですが、時に強い炎症がある場合、関節内に直接ステロイドを注射することで高い効果が得られることがあります。


タクロリムス(プログラフ、グラセプター)

関節リウマチや全身性エリテマトーデス、炎症性筋炎など、膠原病領域では比較的広く使用される薬剤です。膠原病の炎症を惹起する中心的役割を演じるリンパ球の暴走を阻害し、炎症を鎮める薬剤です。比較的安全に使用できる免疫抑制剤のひとつですが、腎機能障害や血糖値の上昇などの副作用が時折みられるため、定期的な血液検査、尿検査、生活指導などを行いながら使用します。体の中の薬剤の濃度が高くなり過ぎないように血中薬物濃度を測定しながら適切な量を調整できるのもこの薬の特徴です。


リウマチ薬の薬価(費用)

これらの薬剤は非常に効果も高いのですが、薬価も高額で、表にお示しする通り、かなりの医療費がかかります。効果が得られた場合、薬の投与間隔を延ばしたり(週1から2週に1回など)、1回投与量を減量したりしながら、治療にかかる経済的負担を極力減らしていく試みも必要です。

 

TNFα阻害薬

IL-6阻害薬

T細胞共刺激阻害薬

薬剤名

インフリキシマブ

エタネルセプト

アダリムマブ

ゴリムマブ

セルトリズマブペゴウ

オゾラリズマブ

トシリズマブ

サリルマブ

アバタセプト

商品名

レミケード

エンブレル

ヒュミラ

シンポニー

シムジア

ナノゾラ

アクテムラ

ケブザラ

オレンシア

使用方法

点滴

皮下注射

皮下注射

皮下注射

皮下注射

皮下注射

皮下注射/点滴

皮下注射

皮下注射

頻度

4-8週間おき

週1回

2週に1回

月1回

2週に1回

月1回

2週に1回

2週に1回

週1回

シミラー製剤

×

×

×

×

×

×

自己負担額3割

5,100~90,000円
体重投与間隔による

14,000~25,000円

12,500~30,000円

33,200円

36,700円

33,430円

19,550円

28,200円

34,044円

自己負担額1割

1,700~30,000円

5,000~8,500円

4,170~10,000円

11,100円

12,200円

11,150円

6,520円

9,400円

11,348円

JAK阻害薬

薬剤名(商品名)

ゼルヤンツ

オルミエント

スマイラフ

リンヴォック

ジセレカ

使用方法

すべて内服薬

用法

2回/日

1回/日

1回/日

1回/日

1回/日

自己負担額3割

4,7880円

47,475円

41,202円

45,801円

44,046

自己負担額1割

15,960円

15,825円

13,734円

15,267円

14,682